小児外科

小児外科

診療科概要

診療対象は全ての小児外科疾患を網羅しますが特に新生児外科消化器外科及び腫瘍外科を3本の柱として、世界に通じる診療を目指しています。
また、QOLの立場から手術侵襲の少ない鏡視下手術あるいは日帰り手術(注)も積極的に行っています。

小児の外科疾患で診断・治療にお困りの例がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

新生児外科
周産期センターの小児外科として病院開設以来特に力を入れてきた領域です。超音波による出生前診断を積極的に行っており、産科、新生児科、麻酔科、循環器科、泌尿器科等関連各科との綿密な連携により最良の治療方針を決定し、良好な成績を上げています。特に、一般に予後不良とされている先天性横隔膜ヘルニアの治療に積極的に取り組んでいます。
消化器外科
小児の代表的な消化器外科疾患である胃食道逆流症に対しては消化管機能障害の理論に基づいた治療を行い、多くの症例の蓄積があります。直腸肛門奇形ヒルシュスプルング病を始めとする大腸肛門疾患あるいは肝胆膵疾患に対しても専門医の立場から積極的に取り組んでいます。
腫瘍外科
全ての小児悪性固形腫瘍(小児がん)症例に対して関連各科からなる腫瘍カンファランスに基づいて最良の治療方針を決定しています。手術的治療は化学療法、骨髄移植あるいは放射線療法などを含む集学的治療の一環として行っており、良好な成績を誇っています。
頻度の多い疾患
そけいヘルニア漏斗胸などに対しても、患者さんの負担を軽減するような新しい手術法を積極的に取り入れています。
新しい手術
鏡視下手術胎児治療などの先進医療を積極的に取り入れています。


注)日帰り手術
2018 年4月より、原則として手術前日(月曜日手術の場合は金曜日)に入院して病棟オリエンテーション・麻酔科受診後に帰宅し、手術当日の朝に帰院して手術を受けていただき、手術当日の夕方に退院していただけることになりました(手術翌日に退院していただくことも可能です)。


診療のご案内 スタッフ集合写真

小児外科 診療科のご案内 (PDFファイル815KB) >>

出生前診断と胎児治療

出生前診断
近年の超音波やMRIといった種種の診断装置の発達により、多くの新生児外科疾患が出生前に診断されるようになってきました。当センターでも年間新生児外科症例(平均60例)の半数以上が生まれる前に診断されております。このように超音波検査で胎児期に診断される疾患には、消化管の疾患として食道閉鎖症、十二指腸閉鎖症、小腸閉鎖症、胎便性腹膜炎などがあげられます。また胸部の疾患として嚢胞性肺疾患や先天性横隔膜ヘルニアなどがあります。他にも腹部や臀部にできる腫瘍も胎児期に診断されることが多くなってきました。出生前診断されたこのような疾患の治療にあたっては、出生前から産科や新生児科などとの合同カンファレンスを行い十分な検討を重ねて、赤ちゃんとお母さんにとって最も良い分娩時期、分娩方法、出生後の治療方針などを選択しています。この様に、関連した科が密接に連携することにより、出生後の治療を円滑に開始することができるため、当センターにおける出生前診断症例の治療成績は良好なものとなっています。なかでも先天性横隔膜ヘルニアについては、産科、新生児科に加え、循環器科、麻酔科、集中治療科の協力のもと、その治療成績は良好で、国際的にも高く評価されています。
胎児治療
出生前診断されたすべての症例が救命されるわけではありません。
なかには、疾患自体が重症であったり多発する合併奇形のために出生後の治療が極めて難しいケースもみられます。
当センターでは出生後の治療が困難と考えられる症例に対する胎児治療にも積極的に取り組んでいます。いまのところ対象となる小児外科疾患は、胎児胸水や一部の嚢胞性肺疾患などに限られていますが、今後はその安全性や有効性を十分に検討した上で、胎児治療の適応を広げていきたいと考えています。

新生児外科

出生前診断された病気や生後に診断された病気に対して、専門的な治療を行っています。対象疾患は幅広く(食道閉鎖症、先天性横隔膜ヘルニア、嚢胞性肺疾患、消化管閉鎖、直腸肛門奇形、腹壁異常、小児腫瘍など)があります。新生児においても、麻酔科、新生児科との共同で最高水準の診療を提供しています。

また、 新生児先天性横隔膜ヘルニアに関しては、出生前診断例を中心に当センターでは従来からさまざまな臨床研究に取り組んでいます。先天性横隔膜ヘルニア診療ガイドラインについては、当センターで作成事務局を務めていますので、2015年9月に発行された新生児先天性横隔膜ヘルニア(CDH)診療ガイドラインについてもご参照ください。

小児に対する鏡視下手術

鏡視下手術
鏡視下手術とは、5mm程度の小さな数個の皮膚の穴から挿入された腹腔鏡や胸腔鏡とよばれる内視鏡と細い手術道具を使って手術をする方法です。従来の手術と違い、皮膚を大きく切らずに病巣まで到達し、モニターで体の中を観察しながら病気の部分を切除したり、内臓の形を変えたり出来ます。当センターでは15年前から小児の手術に導入し、今では新生児の手術にも用いています。
子どもの手術における鏡視下手術の利点
  1. 胸やお腹の皮膚や筋肉を大きく切らずに手術を行うために、傷が目立ちにくくなります。そのため、患者さんが成長した時に、子どものときの手術による胸の変形や醜い傷に悩む事も少ないと思われます。
  2. 手術画面が拡大されてモニターで示されて細かい血管や神経なども観察しやすく、微細な手術が可能となり、体に優しい手術(低侵襲手術)ができます。出血量も従来の手術より少なく、輸血せずに手術をできる可能性が高くなります。
  3. 個人差はありますが、痛みが少ないこともあります。
子どもの手術における鏡視下手術の問題点
  1. 子どもの手術は経験と高い技術が必要ですが、従来の手術に比べて鏡視下手術はさらに高い技術が求められます。
  2. 子どもの体の大きさにあった特殊な鏡視下手術用の道具が必要です。
  3. 手術時間が若干長くなります。
当科で現在行っている鏡視下手術
子どものからだにやさしい手術をめざして、さまざまな病気に対して年間150例から200例の鏡視下手術を行っています。鏡視下手術の代表的な病気には次のようなものがあります。

  1. 肺の病気
    肺嚢胞性疾患と呼ばれる生まれつき肺に異常な部分を含む病気などに対し、胸腔鏡手術を行って胸を大きく切らずにその部分を切除できます。

  2. 胃や食道の病気
    胃食道逆流症とよばれる胃の内容が食道に逆流する病気には検査をして、摂食困難な患者さんには腹腔鏡を使って胃ろう形成術を行っています。また、胃の入り口(噴門)付近の形を変える手術(噴門形成術)により逆流を防止する手術も行っています。これらは、生まれつきの内臓の病気を持つ子どもさんや重度の障害をお持ちの子どもさんに多い病気ですが、当センターでは多数の治療経験があります。

  3. 大腸や肛門の病気
    生まれつき大腸の神経の異常の病気(ヒルシュスプルング病)や肛門が無い病気(直腸肛門奇形)に対して、腹腔鏡を使ってお腹の中の腸に対する操作を行えば、お腹を大きく切らずに手術ができ、手術のあとの腸の癒着による障害も防止できます。

  4. 胆道の病気
    成人と同じような胆石症に加え、先天性の胆嚢や総胆管の病気(胆道拡張症)でも腹腔鏡を補助的に使って、できるだけ傷を小さく手術ができるように工夫しています。
    胸やお腹の中にできた腫瘍に対して、手術の前にCTやMRIなどで進展の程度を正確に評価して、病期によっては胸腔鏡や腹腔鏡を使って摘出するようにしています。

  5. 腫瘍
    胸やお腹の中にできた腫瘍に対して、手術の前にCTやMRIなどで進展の程度を正確に評価して、病期によっては胸腔鏡や腹腔鏡を使って摘出するようにしています。

  6. 鼠径ヘルニア
    従来は鼠径部を切って手術をしていましたが、手術をしてから反対側のヘルニアが出る事がありますので、一定の条件を満たした場合は腹腔鏡手術を行っています。

  7. 漏斗胸
    Nuss法と呼ばれる金属の棒を胸骨の下に挿入して、陥没した胸をきれいに持ち上げる手術をする時に、肺や心臓など胸の中の臓器の傷つけないために胸腔鏡を使って観察しながら操作をしています。

  8. 卵巣の病気
    女児の卵巣嚢胞には腹腔鏡を使って、治療を行うことがあります。また、病気でない卵巣や子宮などの女性生殖器の異常も確認しています。

今後、子どものさまざまな病気に対して内視鏡を使った手術ができるようになると思われますが、小児の鏡視下手術の有数の施設である当センターでは、経験豊富なスタッフのもとで技術の向上をめざして日夜努力しています。

一般社団法人National Clinical DatabaseNCD)の手術・治療情報データベース事業への参加について(PDFファイル 128KB) >>